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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
組織にいた時だって、俺は、八尋や市サンが持ち帰る情報を元に、兵衛と作戦立ててただけで。
一人になったら何も出来ない。

職もない。

ヒモになって、女に養ってもらうにも、家の事ひとつ出来ない。

八尋にゃ偉そうなこと言っといて、このザマだ。情けないったらありゃしねぇ。

盗賊時代に稼いだ蓄えも、もう使っちまった。

莫迦なコトしたなぁ〜。

持参金の一つもありゃ、大手振って女の世話にもなれたろうにさ。

ま、フツーの人間が一生働いたってお目にかかれねぇような大金持っためくらが、世話してくれって現れたって、何モンだって怪しまれるだけだったろうけどな。

そう思ったから、使っちまったんだけど。ちょっとくらい置いときゃ良かったよ。

俺の十年間の稼ぎは、吉原で七日間で消えたんだ。


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