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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
るいさんは、直ぐに洗足桶を出してくれ、俺が足を洗っている間にテキパキと布団を敷き、俺の寝床を作ってくれた。
布団に入り、てっきり一緒に寝るもんだと思ってたら、るいさんは一向にこっちに来ない。
部屋の奥にもう一つ布団を敷く音がする。

「あれ、こっち来ないの?」

「なんであたしが初対面の男と一緒に寝なきゃいけないのさ。」

「俺、金ないし。宿り賃、身体で払うよ?
身体と手管にゃ自信あんだ。おいでよ。
可愛がってあげるから。」

少し身を起こし、肘で体を支えて布団をめくり、誘う。

るいさんが近づいてきた、次の瞬間、

カツッ

という音がして、額に痛みが走った。
爪で弾かれたみたいだ。

「った!」

思わず額を抑えて布団に転がる。

「それ以上くだらないこと言うと、放り出すよ」

「ゴメンナサイ…」

るいさんは、今まで出会った女とは色々違った。

俺がさっきみたいに誘えば、大抵の女は布団に入ってきた。
抱き締めて、口の一つも吸ってやりゃぁ簡単に脚をひらく。
そんな女しか、知らなかった。

連日の行為で身体は疲れていたから、別に女を抱きたい気分ではなかったけれど。

拒まれるのは癪に触る。

それに、やっぱり一人で寝る布団はスカスカして。
少し寂しかった。
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