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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師

「お前の真剣な顔、久方ぶりに見たわ。先般行き会うた時は覇気のない顔をしておったからの。案じておったのよ。丁半の件は、面白そうじゃ。儂も一枚、噛ませて貰おうか。」

そう来なくちゃ。俺はニヤリと笑った。

その夜。兵衛の一両を銭に両替して、俺たちは賭場に出掛けた。両替屋から賭場まで、さほど遠くはなかったが、杖がないと歩けねぇ俺ら二人にとって、二貫文背負って歩くのは骨の折れる仕事だった。(一両=四貫文=約7.5kg)

賭場は思った以上の雑音に支配されていた。

早々に旗色が悪くなるのを感じた。

盆ござと言うらしいゴザの周りに皆座る。

普通は一人ひと席だが、無理を言って兵衛と二人座らせてもらった。

進行役とツボ振りが、二人で進めるらしい。
最初に掛け金の一両をコマ札に変える。

「思うたより五月蝿いの。
お前は目を読む事に集中しろ。後は儂がやる。」

兵衛の案に従い、どう張るかは任せることにした。
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