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第7章 はじめての共同作業

　
　事の深刻さと釣り合わない呑気な提案に、全員が目を丸くする。だが半兵衛に冗談の色はなく、落ち着いた声で続けた。

「期日は明後日、高虎殿に立会人となってもらいましょう。子飼いの皆が協力し、きちんと案内して姉妹と有意義な時間が過ごせたなら、この件は不問です。しかしそこでも諍いを起こすようなら、姉妹は城から追放ですね」

「しかし、兄上にはどう説明するつもりだ？　姉はともかく妹は兄上のお気に入り、勝手に追放など……」

「文句は言わせませんよ。どんな結末を迎えようが、私達は羽柴全体のために行動したんです。それを無碍にするようなら、秀吉もお仕置きです」

「そ、そうか……半兵衛殿が言うなら、そうしてみよう」

「では、打ち合わせの邪魔にならないよう、私と姉妹は退散しましょう。ああ、それと」

　半兵衛は大海と小夜の手を引いて立ち上がらせると、長い黒髪をさらりと流して子飼い達へ釘を刺す。

「あくまで今回は案内です。若者らしく健全に、彼女達が泣くような事は控えるように」

　それだけ言い残し、半兵衛は姉妹と共に出ていく。秀吉相手にお仕置きなどと言える半兵衛に、逆らえる者は誰もいなかった。