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戦国ラブドール
第7章 はじめての共同作業
 






 明後日に子飼いが力を合わせて町を案内できなければ、姉妹は追放。当事者である佐吉にも、それはすぐ耳に入った。

「孫六」

 佐吉は厩へと足を運び、馬の世話をしていた子飼いの一人、孫六へと声を掛ける。だが孫六は相手が佐吉だと分かると、眉間に皺を寄せ無愛想に拍車をかけた。

「お前は『二喬』の噂を聞いたか」

「聞いた」

「我々が手を取り合えば追放は免れるらしいが、城へ二人を残すなど愚策だ。諍いを呼ぶ妖婦など恩赦も与えず追放するべき、お前も秀吉様のため、正しい道に協力しろ」

「……私に、どうしろと?」

「町へ案内に出れば、いくらでも女共を逃がす機もあるだろう。俺は他の馬鹿共を制する、その隙にお前は得意の馬を使って、姉妹を長浜の外まで放り出せ。お前は、姉妹へ妙な情などないはずだろう、それくらい容易いはずだ」

 孫六は小さな溜め息を吐くと、佐吉を無視して厩から出て行こうとする。佐吉が腕を掴み引き止めれば、ようやく口を開いた。

「待て、孫六!」

「断る。人を妖婦だの馬鹿だの、悪く呼ぶ人間の話に乗るつもりはない」
 
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