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戦国ラブドール
第9章 犯す女
 
「良かった……お前まで酷い目に遭っていたら、俺は心配で死んでいたかもしれないぞ」

 過剰な心配が煩わしいのか、孫六は冷めた目を向け虎之助を振り払う。そして盗まれた反物を差し出し、虎之助の手を塞いだ。

「犯人はいずれも『紅天狗』と名乗る盗賊だ。廃寺をねぐらにしていたのかもしれないが、もう戻ってはこないだろう。それと、注意する点が一つ。奴らの親玉らしき『あかつき』という人物は、薬師の心得があるのか、妙な薬を使うようだ。私も妙な粉を撒かれ、目潰しされている間に逃げられた」

「目潰しって……大丈夫なのか!? そういえばお前、いつもより顔が赤いような……」

 虎之助は反物を放り出し、孫六の頬を掴んで瞳を覗き込む。

「人の商品を雑に扱うな、虎之助!」

「けど、酷い毒だったらどうする! 目が見えなくなったら、武士になれなくなるんだぞ」

「お前は私に過保護過ぎるんだ! 年だって一つしか違わないのに、子ども扱いするな!」

「あんた、虎之助と一つしか違わないのかい!?」

 怒る孫六に、大海は思わず大声を上げてしまう。全員の視線が大海に集まると、大海は慌てるあまり、考えなしに口走ってしまった。
 
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