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戦国ラブドール
第13章 欲というもの
 






 近くで待機している、という言葉に偽りはなく、部屋を出た大海の元へ、すぐさま虎之助は駆けつけた。

「大丈夫か? 何か嫌な事をされたりはしなかったか」

「そんな心配しなくても平気だよ。いい人だったよ、行長のお父さんは」

 特に変わりがない様子を確認してようやく、虎之助は安堵する。過保護な虎之助に苦笑いしながら、大海は辺りを見渡した。

「行長はどうしたんだい?」

「あいつなら、宣教師とどこかに行ったぞ。今日はもう自由にして構わないそうだ、お前がよければ、一緒に町を回らないか?」

 宣教師とやらも気になるが、行長の邪魔は出来ない。堺の町もまた興味があったので、大海は素直に頷いた。

 堺の町は足を進ませるたび、大海を好奇心の渦に巻き込む。だが、田舎者の純朴な瞳は、大海ならば嫌な気もしない。虎之助は、せわしなく首を振り辺りを見回す大海を、微笑ましく見つめていた。

「虎之助は、堺に何回も来てるのかい?」

「まあ、お前よりはな。堺はよその国との貿易が盛んだが、なにより見逃しちゃいけないのは鉄砲の技術だ。鍛冶屋なんか覗くと、面白いぞ」
 
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