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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
 
 大海を急かして扇がせると、行長は上半身を起こす。

「ところで大海さん、父から聞きましたよ。大海さんの父が残した句の意味」

「ああ、あれ……うちの父親が、そんな野心に溢れた人間だとは思ってなかったから、本当だとしたら驚きだよ」

「それなんですけどね、私はちょっと解釈が違うんですよ」

 首を傾げる大海を横目に、行長は立ち上がる。そして机の横にある、表面に複雑な模様の書かれた鞠のようなものを手に取り大海へ渡した。

「これは?」

「聞いて驚いてくださいよ。なんと、私達が住むこの世界とは、このように丸いんですよ」

「はぁ? 丸いって……のぼせて、夢と現実が一緒くたになってんじゃないのかい?」

「信じがたいかもしれませんが、本当なんです。これは南蛮由来の地図で、宣教師は遙か遠く、この辺りから――我らが日本まで渡ってきたんですよ」

 大海はすぐに信じられないのか、その丸い地図をくるくると凝視する。そして傾げたままの首を戻すと、行長に訊ねた。

「世界が丸いなら、どうして大地は平らなんだい?」

「さあ? 不思議な話ですよね」
 
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