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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
 
「構わないよ。じゃあ、土産話がてらに始めようか」

 吉継は碁盤を引っ張り出して準備しながら、溜め息を漏らす。

「むしろ、退屈してたから助かったよ。佐吉ってば、最近僕に内緒で何かこそこそやってるから、あんまり構ってくれなくて」

「あんたらは本当に仲がいいね。そんなに気になるなら、何をしてるか聞いてみたらいいんじゃないのかい?」

「いや、僕の力が必要なら向こうから話すだろうし、そうでないなら自分で頑張るでしょ。佐吉が頑張ってるなら、僕は見守るよ」

 退屈だと言ったにも関わらず、続く言葉は温かい。二人の信頼関係に、大海も思わず口元が緩んだ。

「さて、まずは囲碁で一番大事な事は何かだけど。第一に心掛けるべきは、石の価値を見極める事。簡単に石を捨ててはいけないし、死んだ石に固執してもいけない。実際の戦と同じ、冷徹でも、情に流されても勝利は遠退いてしまう」

「実際の……そう考えると、石一つがなんだか重いね」

 大海は白の石を一つ手に取ると、それをそっと握る。囲碁はあくまで石の取り合い、誰が血を流す訳でもない。だが吉継は、命の取り合いになる戦場に生きる人間なのだ。
 
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