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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
 
「大体、囲碁なんか覚えてどうするんだ。吉継に指導を受けたところで、実戦で使う訳でもあるまいし」

「え? それは、その……ほら、勉強になるだろ」

 何気なく訊ねた問いだが、大海は思いのほかうろたえる。明らかにおかしい様子に、佐吉は訝しみ大海の顔を覗き込んだ。

「何か、余計な事に首を突っ込もうとしているんじゃないだろうな」

「な、ない! なにも突っ込んでない!」

「ごまかしても無駄だ、お前は嘘が下手だからな。いいか、この長浜で、お前ごときが口を出して解決するような問題はない。くれぐれも無駄な行動はするなよ」

 辛辣な言葉に、大海は肩を落とし暗い顔をする。大海が噛み付いてくるかと思っていた佐吉は、またも予想外の反応に冷や汗を垂らした。

「な……しおらしくしたって、見逃したりはしないからな! いいか、最近は紅天狗などという無法者が暴れているんだ、自ら危ない目に突っ込むような真似はするなよ!」

 すると吉継は、眉をひそめ佐吉に聞き返す。

「紅天狗? あれはここ最近、なりを潜めたって噂だけど?」

「そ、そんな噂……俺は知らないが? なんだ、どこからそんな話を聞いた」
 
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