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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
 
「半兵衛様!」

「ああ、あなた達ですか」

「半兵衛様、突然不躾な質問で申し訳ないんですが、大海さんを知りませんか? 私達二人、用があって探しているんですが、見当たらないんですよ」

 小夜をなだめながら、半兵衛は首を横に振る。小夜の様子を見れば明らかだが、やはり半兵衛も何も知らないようだった。

「実は私も、彼女を探しに行こうと思っていたんです。昨日の夜、彼女に囲碁を教える約束をしていたのですが、それにも彼女は来なかったんです。飽きられたのかと寂しく思っていたんですが、小夜さんの話を聞くとどうも違うようで」

「小夜さんは、なんと?」

「どうも、昨日の夕方から行方が知れないようなんです。志麻に用事を頼まれてから戻っていないと。小夜さんは大海が私と会っていると思っていたのですが、いつも戻る時間を過ぎても戻らないと不審に思い、私を訪ねてきたのです」

 夕方となると、それは本来佐吉が大海の監視をしている時間帯である。虎之助が訝しげな目線を送れば、行長は小声で虎之助に訊ねた。

「昨日、佐吉さんってば大海さんと大喧嘩したらしいんですよ。もしかすると、それで監視を忘れていたのかもしれません」
 
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