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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
 
 大海はしばらく快楽から抜け出せずにいたが、虎之助の拳が血に染まると青ざめ立ち上がろうとする。

「ちょっと、やめなって――っ!」

 だが大海が口を出す前に、高虎が大海を担ぎ、間に入るのを阻止した。

「行長、俺はこいつをしばらく借りる。お前は小夜のところに行って、無事を報告しとけ」

「しかし、あれをほっといていいんですか? 市松さん死んじゃいますよ?」

「それほど市松は柔じゃねぇよ。後は虎之助に任せとけ」

 高虎はそう言い残すと、混乱する大海をそのまま担いで立ち去っていく。

「……ま、あれに巻き込まれたくはないですな」

 虎之助の鉄拳に冷や汗をかきながら、行長もそろりと部屋を出て行く。大海が救出された事も、皆が退散した事も気付かず、虎之助は市松に喚き散らした。

「ざけんなっ、この野郎――地獄に叩き落としてやる!!」

 最後に腹を思い切り蹴飛ばすと、虎之助はようやく止まる。何度も人を打った拳は感覚を失い、痺れている。腕も疲労し息は上がっていた。

 鼻から血を出し青あざは出来ているが、頑丈な市松はまだ意識もしっかりしている。あれだけ殴っても倒れない事にまた苛立ちが募り、虎之助は怒鳴った。
 
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