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戦国ラブドール
第18章 プロポーズ
 
 激昂する小夜を見れば、虎之助も頷くしかない。叩き返された花束を持ったまま呆然とする市松を引っ張り、部屋を出て行った。

 市松の姿が見えなくなり足音が遠ざかれば、小夜はようやく暴れるのを止める。大海はその場にへたり込むと、頭を抱え長い溜め息をついた。

「小夜……一体どうしちまったんだい。乱暴はよくないよ」

「だってあの人、またお姉ちゃんを騙して酷い事をしようとしたのよ! 間違えそうになったら助けてって、お姉ちゃんだって言ったじゃない!」

「けど、市松は謝ってただろ。騙す気なんかなかっただろ」

「あんなの口だけに決まってるじゃない! お姉ちゃんの優しさにつけ込むつもりで、良い事を言ってるの!」

 ここまで怒る小夜は初めてで、大海は対応に困る。市松が嘘をついて告白したとは思えないが、小夜がそれを認めるとも到底思えなかった。

 そこでふと目に付いたのは、床に落ちた白い菊。大海が何の気なしに拾えば、小夜はそれを奪い取ろうと手を伸ばした。

「貸して、今すぐこんなもの燃やしてくる!」

「小夜!」

 大海が一喝すれば、小夜は肩を震わせようやく止まる。
 
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