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戦国ラブドール
第21章 急転
 
 半兵衛も立ち上がり、大海もそれに続こうと腰を上げる。だが孫六は大海を見上げ、それを止めた。

「待て。少し話がある。付き合ってくれ」

「話? そりゃ、構わないけど」

「それでは大海さん、また後で。一段落したら、またこちらへ集まりましょう」

 半兵衛は軽く会釈すると、部屋から出て行く。残った孫六は大海を座らせると、大海の膝を枕に寝転んだ。

「孫六?」

 こんな時に何事かと訊ねれば、孫六は大海の顔を下から覗き込み、頬に触れる。

「目の下が黒い。顔色も良くない。寝ていない人間の顔だ」

「それは……」

「志麻と半兵衛様に任せれば、すぐに真実は分かる。ならば、昼寝でもして報せを待て」

「けど、あたしだって動いた方が、もっと早く事が済むじゃないか」

「私は頭をどけるつもりはないぞ。重しをしてないと、この足はどこかに飛んでいくだろうからな」

 孫六はふてぶてしく言うと、目を閉じる。これでは大海を休ませるためというよりは、孫六が休みたいだけのように見える。足は動きたくてうずうずするが、孫六の頭を床に落とすのも躊躇われた。
 
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