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戦国ラブドール
第21章 急転
 
「あの子はあなたが好きで仕方ないから、あのような物言いになるのでしょう。しかし落ち着きさえすれば、必ずあなたの言葉を噛み締め受け止めてくれるはず。あの子の芯の強さを、今こそ信じなさい」

 だが大海は、まだ目に光を取り戻してはいない。志麻が頭を抱えたその時、部屋の外から声が聞こえた。

「志麻、ちょっといいか?」

 それは、今日一日無実の罪で拘束されていた市松だった。志麻はすぐに襖を開くと、前に立っていた市松へ抱きついた。

「ああ、市松さん……よかった、もう大丈夫なのですね! あなたは秀吉様の世を担う大事なお方、このまま打ち首にでもされたらどうしようかと……」

「悪い、心配かけたな、志麻。俺のために、あちこち駆け回って聞いてくれたんだってな? ありがとう」

「市松さんのためなら、当然でございます!」

「それでさ、その……ちょっと、大海を借りてもいいか? 屋敷の外には連れ出さないから」

「そんな事ならいくらでも。あの娘を、慰めてやってくださいな」

 志麻は大海の了承もなく決めると、大海を強引に市松へ押し付ける。だが、この間とは違い、送り出す目には大海を労る優しさがあった。
 
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