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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
 






 だが、期待むなしく、夜になっても小夜は見つからない。あまり大っぴらに捜索し続けてしまえば、秀吉の名誉にも関わる問題がある。一度捜索を打ち切った六人と高虎は、大海と、半兵衛を交え評定を始めた。

「つまり――あたしが堺に向かった頃から、ずっと紅天狗は秀吉に喧嘩売ってたって事かい。あたしが……あいつらに目を付けられるような事になったせいで」

 また自分の殻に閉じこもりそうになる大海の頬に、半兵衛は手を添える。

「いいえ、あなたは何も悪くありません。悪いのは傾奇者を気取り、紅天狗を名乗る賊のみ。彼ら以外に非のある者など、どこにもいません」

 それに厳しい目を向けたのは、紅天狗討伐の長を任された高虎である。高虎は、半兵衛に対する疑いを拭いさってはいなかったのだ。

「大海に非はないと思うが、お前はどうかな。そもそもお前が勝手に大海を連れ出さなければ、紅天狗が小夜を拐かす隙なんか生まれなかったんじゃないか?」

「それはどうでしょうか。むしろ私が彼女を連れ出していなければ、二人とも攫われていたかもしれません」
 
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