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第23章 赤壁の戦い

　
「初めは機を見て話すつもりだったけど……けど、それじゃ無理だろ？　だって半兵衛殿は、吉継を憎く思ってる訳じゃない。今も大切に思うからこそ、会わないでいるのに」

「そうだね、きっとただ話をしただけじゃ、半兵衛様の心は動かなかった。これは君じゃなきゃ、出来なかった事だ」

　大海は目の前の吉継を見上げると、気恥ずかしそうに背中へ手を回す。大海の方から触れてくるなど珍しく、吉継が目を丸くすれば、大海は照れ笑いを浮かべた。

「囲碁は、その人の性格を映すだろ？　だから言葉より、それで今の吉継を知ってもらった方が伝わると思ったんだよ」

「けど、だからってあれだけ短期間の間に、手を真似するなんて難しいよ。よく出来たね」

「だって、初めっからそうしようって決めてたから。あんたの手はもちろん、普段どういう考え方をしていて、何をしてるのか、ずっと見てたんだ。吉継を知れば、きっと打ち方も理解出来ると思って」

「……つまり、君も、僕を見てたって事？」

「え？　ああ、そういう事……かな」

「ますます分かんないな。僕は君を見ていて、君も僕を見てたのに、なんで僕はそれに気付かなかったんだろう」