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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
黒月が視線を向けたのは、大海。横になってしまえば、小さな男でも見下ろされる事はない。秀吉の宝である美女を好きに出来るとなれば、いくらでも人は補充出来る。そして同時に、秀吉を泥を塗った紅天狗の勇姿も広められるのだ。
だが、その時大海が唸り声を上げ、虚ろに目を開いてしまう。赤月は慌てるが、黒月は手で赤月を制止し、頭巾を脱ぎ捨てた。
「ううっ……」
「お目覚めか、大喬さん」
頭が痛むのか、大海は頭を抱えて上半身を起こす。しばらく虚ろなまま辺りを見回していたが、黒月の顔を見ると険しい表情へと変わった。
「あんたは……さくや!! なんで、こんなっ……」
大海の目に飛び込んできたのは、同じ侍女であるはずのさくやであった。しかし、隠していた口元の布を外し、露わになった喉は女のものではない。顔は化粧でごまかせても、体は男を主張していた。
「私の名は、黒月。紅天狗の首領、黒月だ」
「紅天狗の首領……だって!? こっちの赤いのが、親玉じゃないのかい!?」
「俺は、こんな非常事態の際に、黒月を自由に出来るように用意された偽りの頭さ。見事に、皆引っかかってくれたようだな」