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禁断の果実に口づけを
第10章 普通に憧れる洋子


 中から足音が聞こえ、ドアが開いた。

 「……洋子」
驚いた顔の伸介。

 「駅前のラーメン食べよう」

 「あっ?」

 「お腹が空いたの。
ラーメン食べたくなったの。
それと………えっと…その……た、た食べ終えたら……セックスしましょう!」

 洋子はシドロモドロで辿々しくなりながらも、言いたい事を告げた。

 そんな洋子を見て、『プゥ』と吹き出す伸介。

 「なんだよ…ムラムラしてんのか?」

 「そっ、そうよ!ムラムラしてんの。
今日一日中」

 「中に入って待ってろよ。
外はさみぃーから、上、引っ掛けてくるわ」

 「えっ、あっああ…うん」


 玄関に立ち、大胆になった自分に驚き、今頃になって心臓がバクバクし、緊張する洋子。

 トレーナーとジーンズ姿の伸介は、その上に革ジャンを羽織った。

  「行くか」
伸介は玄関に突っ立っている洋子に声を掛けた。
勢いでここに来てはみたが、恥じらいを感じ、伸介の顔をまともに見る事が出来ない。

 「行くんだろ?
おやっさんのラーメン。
それからセックスすんだろ?」

 「……うん」

 「それとも、玄関で今すぐしたいのか?」

 「お……お腹満たしてから、ゆっくりしたいの!」

 「ヤベぇ……超ウケる!!洋子!!」

 伸介は笑う。

 「私もこんな淫乱な自分に超ウケてる…」

 「いいんじゃねーの?
淫乱な女の方が素直だろ?
セックスしたいなら、してもいいわよ系の女はくだらねー
シタイくせに取り繕う女は狡くね?」

 「狡いかな…」

 「狡いだろーよ?
ヤリたいのは、男だけなはずねぇーんだから!」

 「うん」

 歩き出す二人。
洋子は伸介の背中を見ていた。
 
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