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禁断の果実に口づけを
第12章 週明けの女達


 勿論…
伸介と川端が影で陰湿な糸で繋がり、嘲笑っているかもしれないという最悪な予感を常々感じていた。

 伸介との出会いはあの女がきっかけであり、その糸の中に堕ちていった。

 不覚にも私の意志で。

 でも、もう…… 
開き直る自分も居た。
最悪な予感と背中合わせの恐怖を感じながらも、伸介を断ち切れない。

 いつか終わりはやって来る。
その時、取り乱さない自分で居よう。

 最期まで、伸介という男を楽しみ、女として満たされた時間を嘘で塗り替えぬように………

 騙すなら最期まで上手に騙して欲しいと願った。


 切なくて苦しい気持ちの中で、ドキドキしたり、ハラハラしたりを繰り返し、快楽という興奮に導かれながら、忘れかけていた女の感情を取り戻すんだ。

 私もいい大人だ。
自分が招いた結果を受け入れる覚悟は出来ている。

 正直に生きた女の時間に、穢を残して偽りに変えてしまう事の方が哀しいと思う。

 終止符を打つ日は、大人の女になって伸介を驚かしてやろう。

 『そんなの最初から分かっていたわ』と余裕ある女を演じるんだ。

 最期を迎えるその日には……ね……
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