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禁断の果実に口づけを
第15章 メリクリ
 
「今晩は」
と声を掛けて入った場所は、すっかりこの味に魅了されてしまった屋台ラーメン屋。

 「おっ!!お姉さん一人かい?」

 「ええ」

 真っ直ぐ家に帰る気もせず、冷えた体を温めたくてここに寄った。

 「おじさん、ラーメン一つね」

 「あいよ!」

 「あとこれどうぞ」

 洋子はエコバッグから袋を取り出し、ラーメン屋のオヤジに渡す。

 「えっ!?なんだいこれ?」

 「美味しいラーメンのお礼です。
お口に合うかどうかは保障しません。『私は保険屋だけどそこは自己責任で宜しく』
ローストチキンを作りました。メリークリスマスです」

 「有難うよ。
女の人の手料理は久し振りだ!
今日は姉さんにはスペシャルご馳走すっから!」

 「有難う御座います」

 何故か安心するのよ。このおじさん。
伸介には会えなかったけど、屋台が開いていて良かった。
最初からこのおじさんの分も一緒に焼いていたし…。
何となくお礼したかったし、伸介に届けた後にここに来るつもりだった。

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