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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて

 「ねぇ、倉橋さん。
例え妻であっても契約者以外には保険の内容についてはお話出来ない事は分かりました。
ならば、一千万円の掛け金の保険はどの様な内容で、どのような保障をしてくれるのか、というお話なら伺えるのかしら?
それなら問題ないわよね?」

 「あっ……はい」
返事に明らかな戸惑い見せる朋子。

 優美子が質問内容を変えた誘導尋問をしている事は、洋子や朋子にも分かっていた。

 「主人の保険内容を聞いてる訳ではないですし、そのタイプの保険の内容や知識を伺うだけなら問題ありませんよね?」

 「……はい」

 「是非、教えて頂けないかしら?
被保険者にどの様な保障があり、得があるのか」

 「倉橋さん、パンフレットをお持ちして風間様にご説明して下さい」

 「……はい」

 朋子はパンフレットを取りに一旦席を立った。
只事ではない雰囲気が、応接室に残った洋子にもヒシヒシと伝わってくる。
途中、お茶を届けに来た事務員も引き攣った笑顔で風間優美子の前に置いた。
キチンと化粧が施され、更に美人顔を惹きたたせているルックスの優美子。
でも、そこから伝わってくる空気は冷たい。
和やかに終る話しでない事は、誰にでも予想がつく程重苦しい空間の中に居た。

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