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禁断の果実に口づけを
第6章 洋子の変貌

 仕事が終わり、やっと自分のデスクで一息ついた時ーー

 洋子は、伸介の名刺を眺めていた。
仕事用かもしれないが、携帯番号も名刺には書いてある。
かけてしまいたい衝動に駆られた。


 車のお礼を……
昨日、何も言わずに帰ったから気になった。

 頭の中で伸介に電話をかけるキッカケを探していた。

 そんな時、洋子の携帯に電話が入る。
見慣れない番号だけど、お客様かもしれないので電話に出てみた。


 「はい、秋山です」

 「洋子?」

 「あの、失礼ですがどちら様でしょうか?」

 「車の調子はどうだよ?」

 !?
伸介!!

 「ーーあっ、あの……昨日は有難う御座いました」

 気になる男からの電話なのに、体裁を気にしてよそゆきの声になってしまう。

 「大丈夫なんだな?」

 「はい、お陰様で」

 「なぁ、セックスしたいか?」

 「はっ?」

 「身体が疼くんじゃねーの?」

 「そんな事、あるわけないじゃない!」

 「つまんねー女だな……
ならいいや、じゃあな!」

 「あっ、あ……ちょっと待って!
あの‥‥‥‥」

 「なんだよ?」

 「少しだけ、会えませんか?」

 「ヤリてーなら、下着をつけずにアパートに来いよ!」

 伸介はそう言って電話を切ってしまった。

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