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禁断の果実に口づけを
第7章 理性と欲望の狭間


 駅まで伸介と並んで歩いた。
小さな屋台のラーメン屋。

 『相変わらず、貧乏臭いところでご飯食べる人ね!
そこが私にはお似合いとでも言うのかしら?
全く、屈辱的だ!
だけど、お腹が空いたし、屋台ラーメンなんて一人では絶対入れない。
何事も経験?』

 などと自分にいい訳しながらも、伸介ともう少し一緒に居たいという気持ちの方が勝っていた。


 「へい、いらっしゃい!」

 迎えてくれた屋台ラーメン屋のオヤジもしょぼくれて見えた。
脱サラ?
店を持つほどの余裕なし?
年金前くらいの歳かしら……?
いずれにしても、こんな寒空の下で冷えるだろうにご苦労様。

 「なににしますか?」

 「ラーメンと熱燗」

 伸介は馴染みの客の様でにこやかにオヤジと話していた。

 「そちらのお姉さんは?」

 お姉さんって、私かよ?
まぁ、あなたよりは若いけどさ……

 「あっ、ラーメン下さい」

 「はいよ!ラーメン二丁に熱燗ね。
お姉さんは熱燗はいいのかい?」

 「こいつは車だからいいんだ」

 素っ気なく伸介は言った。

 「そっかい」

 オヤジは手慣れた手つきでラーメンを茹でた。
目の前にラーメンが出された時、何とも言えないいい匂いが漂う。

 ズルズルとなるべく音を立てない様に口に運んだ。


 「美味しい!」

 自然にそう言っていた。
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