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* 花音’s short story *
第4章 ◆ episode3 ** 藤枝 美羽 × 結城 恒 編
それから急いで仕事を終わらせて、瀬戸さんの店に向かった。


「結城くん!早かったね!」

「………美羽さん何してんの?」


彼女は髪を束ねていて、腰にはエプロン。



「お店忙しそうだったから、手伝ってたの。今日、美月ちゃんと陸くんいないから」


瀬戸さんが俺に気付いて、

「美羽ちゃんありがとう。もう大丈夫だから。結城くんと座って」

そう声をかけてきた。


「でも、お客さん多いし……落ち着くまでお手伝いします」

美羽さんが縋るような目で俺を見た。



「……瀬戸さん、俺も手伝います」

「ホントに悪いね」

瀬戸さんが申し訳なさそうに言った。


「いえ、瀬戸さんにはいつもお世話になってるし……なんか美羽さん楽しそうだから」


少し離れたテーブル席で接客をしている美羽さんはホントに楽しそうで……イブに特別なことをしてあげられないことが気になってたけど……。


あんな顔見せられたら、よかったななんて思ってしまう。



「結城くんゴメンね。つき合わせちゃって」

美羽さんが俺の側に来て、小声で言った。
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