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優しい愛には棘がある
第3章 Fairy land


 なしろはかおりの女の窪みに唾液と彼女自身の体液とを塗りつけながら、鎖骨に揺れる鎖を揺さぶる。

 かおりの身体がよじれる度に、ピアスにたぷんと踊らされていた二つの肉が、ひとしお不自然な伸び方をした。


「っ……!!」


 なしろが手近な肉叢を引っかくと、みるみる淡い血色の線が浮かび上がった。


 じゅるっ……てろてろ……ちゅる…………


「あっあぁっああっ!気持ちぃ、気持ち良ぃですなしろ様……はぁっ……かのりは、んっ、なしろ様のものなので……」


 なしろの長い栗色の巻き毛が、気まぐれな風にさらわれかける。


「もっと、もっとかのりをいじって下さいっ……あぁはぁっ恥ずかしいとこが、うずうず、して……っ、なしろ様の、指、かのりのいやらしいお口にくわえさせて下さ……ああぁっっ」


 かおりの喉が、この世のものならざる悲鳴を上げた。



「──……」

「真宵」


 唇の端を指で拭って、なしろはまるで昔からここにいたような新参者に顔を上げた。


「お茶請けよ。四つん這いでここまで来たら、ご褒美をあげる」


 愛液にまみれた左手に、パステルピンクのマカロンを乗せた。


 真宵が地面に跪く。

 マカロンが、なしろの指と指との間で崩れた。


「……っ、はぁ……」


 フリルが砂埃に汚れるのにも構わないで、なしろの足許に至った愛玩動物が、あるじの指にかぶりついた。

 呼び水のような舌先が、なしろの指を犯していった。
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