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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫
滲んだ汗をハンカチで拭ってあげたいと思う。
けれど結局それもできずに、彼のほうに伸ばした手を中途半端な位置で止めるしかなかった。
すると……
カルロの片目がパチリと開いた。
「……」
「…っ…起こしましたか?」
彼に睨まれた気がして、ミレイはすぐに手を引いて謝る。
べつに睨んでいるわけではなかった。
見たくもない夢のせいで疲れた様子のカルロは、重たい頭を持ち上げる気にもなれず、その状態のまま彼女を見上げた。
「……なに?」
なに?なんて聞かれても、返せる答えを彼女は持っていない。
ただ本を求めて来た場所で彼を偶然見つけてしまったんだから。
「何か…用なのか」
「カルロさんの顔色が悪いから、気になってしまっただけですけど…」
「……」
「…嫌な夢を?」
「…たかが、…夢だ……─、─ッ 触るな!」
「ぅ…っ」
もう一度ミレイが腕を伸ばしかけると、カルロは条件反射でそれを拒み
机の上の本をはたき落とした。