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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第26章 迎え─ミレイの選択

彼女を捕らえたのはスミヤだった。

外出着をまとう彼は、外から帰ってきたところらしい。


「…はっ…離して…!」

「…離したとして、君はどうするんだい?ハルトの後を追って──苛ついてるあいつに、押し倒されたいの?」

「……っ」


焦りが極限にまできている今のミレイは、いつものようにゆったりとしたスミヤのペースと相容れない。

離すように叫んだが…

スミヤは手の力を強めた。


「君が冷静になるまで離さないよ」

「…冷静 に…? でも…っ」

「──…落ち着いて」


彼は声のトーンを低くして、真面目な口調でミレイを諭した。


「……!」


身動きが許されない状態で、スミヤの顔をじっと見ていると

余裕のなかった自分に、少しだけ落ち着きが生まれる。


「……ぅ」

ミレイは頭を垂れた。



「…わたし…どうすれば……」

「君が決めることだ」


抵抗の力がなくなったのを確認して、スミヤがそっと手を離す。

壁に背をついて寄りかかり、彼女の隣でその様子を見守った。

ミレイはその場に立ち尽くしたままだ。




「──…こんな時間だけれど、君がまだ眠くないのなら…話を聞いてあげられるよ」


「……」


「まぁ…寝てなんていられないか。タイムリミットは明日だからね」


壁から背を離し、ひとあし先に歩き出した彼は、玄関を横切りながら背後のミレイに話し続ける。


「…僕も今日は寝る気分にならない。おいで」


ハルトを追うよりよほど危険な匂いがする。

けれど、眠気が皆無なのは本当だ。


ミレイは彼について行った。彼なら、どうするべきかの答えを知っているような気がすると──

そう思わせるスミヤの雰囲気は、やはり卑怯だと感じながら──。









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