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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第29章 契約の熱

途中で警官とすれ違ったが話を合わせて何事もなく通り抜ける。

悪人でもない彼等に…これ以上の強行手段は使えない。

“ さっきの人達は可哀想だったわ ”

変装して潜り込んでいたカルロに気絶させられたに違いない、護衛たち三人を思うとミレイは胸が痛んだ。



──そうして無事に地下駐車場にたどり着いた二人は、ホテルから逃げるために車に乗り込もうとした。

鍵を出したカルロが彼女を下ろして、車を解錠する。

「乗れ」

助手席の扉を開けたカルロがぶっきらぼうにそう告げた。


…しかし、その時

無人だった駐車場に複数の男達が流れ込んだ。


警察だ。


「ちっ…」

「カルロさん…!! 銃は…っ」

「構うな」


即座に反応したカルロが、腰に提げた短銃を抜き取りながら車から離れる。

むこう側は彼に銃口を向けていた。

止まれという指示が飛ぶも──それに従わないカルロは、躊躇いなく走り寄る。


「カルロさん!」


警官が発砲する──

カルロはさらに加速し、自身の短銃で応戦した。


銃声に合わせて警官たちの後ろのコンクリート柱にヒビが入り、怯んだひとり──その男に狙いをさだめたカルロ。

低姿勢で男に突っ込み、突き飛ばす。

そして倒れた男を引き戻して盾として使い、次の標的に詰めよった。


──…彼がくり出すその早業


狩りをする隼( ハヤブサ )のごとき眼光に、獲物にされた警官たちは怯えを隠せない。



「怯えたほうが…」


「ひ‥ッッ」


「──ッ…負ける」



駐車場に来た警官は四人だった。

男たちはものの数秒で

カルロの足元に崩れさってしまった──。




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