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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第31章 Epilogue ── とある恋人たちの日常

緊急事態だ。

しかし男に口を塞がれた拍子に、耳に付けていた小型の無線は落ちてしまった。

“ 連絡の手段が… ”

別のガードマンに報告しようにも、すぐにはできそうもない。

困った状況だが、相手に動揺をさとられないように彼女は平静をつとめた。


「…お前、あいつが雇ったガードマンだな?」

「知りません。それよりあなた…その刃物をしまって下さい。何のつもりですか」


男の言う「あいつ」とは依頼人のことで間違いなさそうだ。

それならば、この男を捕らえなければ…。


ミレイは服の下に片手を差し入れ

隠し持っている拳銃を取り出そうとした──。





「……やめときなよ」


「……っ」


「街中で " それ " は使うな。…マルタイは騒ぎを…望まない」





「…あ?…まだガードマンがいたのかよ…!!」




向かい合う二人の元へ、もうひとり…若い男が割り込んできた。


路地に入ってきた彼は怠そうに頭を掻きながら、ミレイの横に立つ。



「どうしてここに…!? カルロさん…っ」


「──…」


口で答える代わりに、伏せた目で彼女を見下ろした。



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