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星の島で恋をした【完結】
第20章 《二十》
 いつもならカティヤ王女の周りにはセルマのような護衛が複数人ついているのに、今はどうしてかリクハルド一人だけが付き添っている。

 カティヤ王女の剣の腕はそれなりであるというのはセルマは知っているし、リクハルドの魔術がすごいのは知っているけれど、冷静に考えてみると、いろいろとおかしい。

 だからリクハルドがカティヤ王女を護るのは当たり前であるのだろうけれど。

 理性ではわかっているのに、心は納得していない。



 これならばいっそ、セルマがカティヤ王女を護ったほうがすっきりする。

 今のセルマは丸腰であったけれど、アントン一人だけならば切り抜けられる自信はあった。



 寝台から降りようとしたら、アントンが口を開いた。



「そうだ、カティヤ。おまえの大好きな腰巾着がオレの愛人になりたいそうだ」


 セルマはカティヤ王女に目をかけてもらっているため、カティヤ王女の腰巾着と揶揄されていることは知っているし、正面切って言われたことは数え切れないくらいある。だからきっと、アントンが言っている腰巾着とはセルマのことだろう。

 

 そこまでは理解した。



 しかし、セルマがいつ、アントンの愛人になりたいなんて言ったのだろうか。



「カティヤ、おまえをオレの本妻にしてやるついでにあれも愛人にして、ふたりともかわいがってやるよ」


 セルマはアントンがなにを言っているのか本気で分からなかった。

 

 アントンがしつこくカティヤ王女に求婚しているというのは知っていた。そして今回、セルマが呪いの矢を受ける原因になった視察も、出発するまでに公爵家からかなりの妨害を受けていたことも発覚していた。



「あの腰巾着がくればおまえもくるだろう?」


 そう言ってアントンはおかしそうに笑っていたけれど、本当の本気でセルマは意味が分からなかった。



「それとも、また矢を射掛けられたいか?」


 その一言にセルマは目を見開いた。

 状況証拠的にあの呪いの矢は公爵家が絡んでいると分かっていたけれど、こうまでもあっさりとその事実を口にするとは思っていなかった。



「セルマはあなたなんかの愛人になるはずもありませんし、わたくしはあなたとなんて絶対に結婚はいたしません」
「はっ! ずいぶんと強気だな」
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