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星の島で恋をした【完結】
第22章 《二十二》
 だからね、とカティヤ王女は続ける。



「カールレラの王家はユルヤナ一族があってこそなの。わたくしたちは代々、ユルヤナ一族を護るためにこの国を治めているの」
「……………………」


 まさかの事実にセルマは言葉も出ない。



「だからリクハルドはわたくしより立場が上なの。偉そうな態度も納得でしょう?」
「カティヤ、それはひどい誤解だな。別に俺たちはおまえたちより上だと思っていないぞ」
「それにしても……かなり態度が大きいわよね」
「俺たちが唯一敬意を払うのは、星たちだけだからだ」
「……ということなのよ」


 リクハルドの態度が大きいわけも、それを当たり前として受け入れているカティヤ王女の理由も分かった。

 だけどそれとセルマがカティヤ王女の護衛から外される理由が分からない。



「それで……どうして私は」
「どうしてもこうしても! あなたはリクハルドの対だからに決まっているでしょう!」
「……え?」
「セルマ、あなたは元々、アステリ持ちなのよ。さらには珍しいことなんだけど、星の護り人の対なの」
「あの……意味が、まったく分からないのですが」


 カティヤ王女の説明はセルマにはまったく意味が分からず、首を傾げた。



「ユルヤナ一族は王国ができる前から星を護る一族だったの。ここまでは分かる?」
「……はい」
「そしてね、たまにだけど星が気まぐれにわたくしたち人間にアステリを与えるの」


 そういってカティヤ王女は窓に向けていた身体をリクハルドとセルマへと戻し、スカートの裾を持ち上げて足首を指し示した。



「ここにあるでしょう、アステリ」


 そう言われてセルマはカティヤ王女の指先を見ると、そこにうっすらと星が見えた。



「セルマ、あなたは首の付け根にこれがあるの」
「え……」
「ちなみに、わたくしの母がユルヤナの一族なの。わたくしとリクハルドはいとこになるの」


 だからこそ妙に親密だったのか、とセルマはようやく納得した。



「ユルヤナの血を引く者にアステリが出るのも珍しいのよ」
「そう……なんですか?」
「だってユルヤナは星を護り、そして星が気まぐれに与えたアステリを持つ人も護らなければならないから」


 そしてカティヤ王女はくすりと笑った。



「だからセルマ、あなたを護るためにわたくしの護衛にしたの」
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