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星の島で恋をした【完結】
第3章 《三》
 真昼の島の地面は太陽に照らされていて、裸足で出るにはかなりの熱さになっていた。さすがにこのまま出るなんてことは無謀だと分かり、セルマは渋々と日影へ戻った。

 これは大変困った。

 セルマはため息を吐き、それから鞄をのぞき込んでみた。

 ここにはいても三日くらいだろうし、それより長くなるようなら着ているものを洗濯すればいいと考えていたため、荷物は多くない。しかも靴の替えはないため、鞄もそれほど大きくない。

 必要最低限のものしか入ってないのはセルマがよく知っていて、靴替わりになりそうなものも入ってないのは分かり切っていた。

 鞄の中を見ていると、汗を拭うための布が何枚か出てきた。これを足に巻き付けて靴替わりに……と思ったが、薄い布だし大きさもそれほどなくてセルマの足を全面に覆うのは無理なような気がした。

 鞄の中にあるものではどうすることもできないのなら、ここにあるものでと周りを見回すと、寝台のそばに室内履きらしきものを発見した。

 セルマは寝台に近寄り、しゃがみ込んでそれを手にした。

 色は白で、寝台と卓の色に合わせられているところを見ると、ここに備え付けられたものであるらしいと分かった。それにしても、ここがどこかの宿泊施設ならいざ知らず、人が訪れる予定のなさそうなこの島にこれだけそろっているのは驚きだ。やはりカティヤ王女が手配をしてくれたのだろう。男の態度を見る限り、あの男が整えたとは思えない。

 ガゼボの中は素足でもいいけれど、外に出るときはこれでは出られないからありがたく拝借することにした。

 履いてみるとセルマの足にぴったりだったため、確信を深めた。
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