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星の島で恋をした【完結】
第7章 《七》
 男はセルマをじっと見つめた後、視線を逸らした。

「飯が出来たから来い」

 そう言って男は腕を振ってついてくるように促してきた。少し前に食べたばかりだったような気がしたが、食べ足りていなかったセルマは素直に男について行くことにした。

 ガゼボから地面に足をつけるとき、輝く島を見てセルマは躊躇した。昼間の黒い島のときにも思ったが、昼とは様子が変わった淡く輝く島に足を踏み入れていいのだろうか。汚してしまわないだろうか。島から反発されないだろうか。

 かなり躊躇したあげく、少し先に何事もなく男が立っているのを見て、大丈夫だと自分に言い聞かせてから足をのばしたのだが。

「ぅくっ!」

 ばちっと火花が散り、セルマは慌てて足を引っ込めた。危惧していたとおりの島の反応に、ガゼボの中心まで後退した。

 男は音を聞き、足を止めてセルマを振り返った。ガゼボの端にいたはずのセルマが中に引いているのを見て、目をすがめた。

「どうした?」
「……拒絶された」
「呪いのせいか」

 夜になって島が本来の姿を取り戻した途端、セルマは拒絶されてしまった。この白くて美しい島に自分はやはり似つかわしくないのだ。金色の男はきっと星の化身だから問題ないのだろう。

 肩を落としているセルマを見て、男はなにを思ったのか。険しい表情を崩すと、セルマにまた背を向けた。

「そこで待っていろ。食事を持ってくる」

 その言葉にセルマは顔を上げ、男を見た。

 白い光を帯びた男は昼間よりも美しく見えた。やはり星の化身なのだろう。それなのにセルマはあの男を傷つけた。

 抱いていた後悔の念が大きな形となり、セルマを襲ってきた。

 男はここにいてスキアとかいう魔物を倒してほしいと言っていたが、星の島は星の化身である男を傷つけたセルマのことを拒絶した。やはりここにいてはいけないのだ。

 一刻も早くここを出て行きたいと思ったが、出ようとすると島がセルマをこのガゼボから出さないようにとしてくる。
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