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星の島で恋をした【完結】
第1章 《一》
   *

 セルマは島に近づいて、島が黒一色ということに驚いた後、そういえばカティヤ王女から聞いていたことを思い出した。星の島という名前であるが、昼間はどこもかしこも真っ黒で少し不気味だと。

 セルマが島にたどり着いたのはお昼前で、太陽は頭上に輝いていて暑いくらいだ。そんな時刻なのだから島は真っ黒だった。

 だけど不気味なのはそれだけが理由ではなかった。ここには一切、生の気配がないのだ。

 底が見えるほど怖いくらい透明の海水には魚影も見えない。島を渡る風も透き通りすぎていて自分が異物にしか思えない。舟着き場は木で出来ていたが、陸地はすべてを拒絶するかのような黒。しかも木や草は生えておらず、不毛の地。

 ここに足を踏み入れていいのか、本当にここに来て良かったのだろうか。そんな不安が大きくなっていく。

 そう思っている内に舟着き場へと舟が着き、舟頭は無言でセルマに降りるように促してきた。セルマも同じように無言で荷物を持つと舟から下りた。

 すると舟はセルマを降ろすとお礼を言うよりも早くそそくさと離岸した。そう、まるでこの島から逃げるかのように。いや、実際、逃げたのだろう。この島はそれくらい不気味で薄気味悪い。

 遠ざかっていく舟を見守りながら、これで帰る手段を失ったことに気がつき、セルマはため息を吐いた。

 舟を下りてしまったのだから、後戻りはできない。セルマは半ばあきらめの境地で周りを見回したが、桟橋の木以外はすべてが真っ黒で、本当に生き物の気配を感じなかった。

 カティヤ王女の話によればここには管理人がいるということだったし、舟の到着時刻も伝えてくれているということだったが、迎えがいるように思えなかった。見知らぬ場所で下手に動くのはよくないのを知っているセルマはしばらくぼんやりとたたずんでいたが、だれかが来るような様子はなかった。

 しかも日差しがじりじりとセルマの肌を焼いているのが分かり、暑さに耐えられなくてこのあたりを少し散策してみようと思った。

 またここに戻ってくるのなら荷物はこのまま置いていてもよいかとふと思ったが、気配がないとはいえそれはさすがに不用心かと思い、左肩をかばいながら右手で荷物を持ち、陸地へと足を踏み入れた。
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