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星の島で恋をした【完結】
第8章 《八》
     *

 男に酷いことを言われた。

 しかし男が言うように無駄に命を散らすよりは、この島にいるという星を喰らうスキアを倒すか……あるいは討伐が無理ならば、呪いの道連れにするか。

 その後に言われたとんでもないことは考えないでおこうとセルマは首を振った。

 そしてふと、卓に置かれた食事が目に入り、セルマのお腹はそれと同時に空腹を訴えた。

 こんな状況なのに食べ物を目にして食欲が沸くということは、身体はまだ死にたくないと訴えているのかもしれない。

 それならば今は欲求を満たすために食べてしまおうと、セルマは男が用意してくれた料理に目を向けた。



 卓の上には平たくて丸い皿の上に刻んだ新鮮な生の葉物野菜となにかの肉を焼いたもの、木の器に入った汁物と丸くかためられた穀物が乗せられていた。ここは暇だといっていたが、このすべてを男が作ったのだろうか。



 この星の島は陸から小舟で半刻もない距離の島だが、周りには他の島の影もなく、もちろん陸地さえ見えない。この島で食材を育てているようにも思えず、それなのに新鮮であるのが不思議だ。

 数日ごとに舟で食材が運ばれているのだろうかと思ったが、セルマをここに連れてきてくれた舟の様子を見ると、それもなんだかないような気がするが、それならばどうやって食材を確保しているのだろうか。食材の確保もだが、これらはどこで作ってきたのかも謎だった。

 そんなことを考えながら、セルマは食事を口に運んだ。先ほど軽く食べたときもだったが、味付けは凝ったものではなく素朴だが、不思議とセルマの口に合った。

 セルマが住んでいた寄宿舎の食堂とも城で供される食事の味付けとも違っていた。ということはやはりこれらは男が作ったのだろう。

 いくつか疑問に思うことがあったが、お腹が満たされたらすっかりそれらは消え去った。


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