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花咲く夜に
第6章 決心
病室に入る。

個室だ。


めぐるはまだ朦朧としているのか、
少し眠そうに頭を起こす。

『あ……貴斗………』


ベッド脇に立っていた拓海がムッとむくれた。


『………雄大が………』
そう呟き、
眠りに堕ちたのか寝息を立て始めた。


『雄大って誰だ?』
養父が養母に訊ねる。

『……あの……結婚予定だった人よお父さん』
チラリと貴斗を見遣りながら遠慮がちに伝えた。


『アイツか!』拓海が憤る。
『……てか何で今さらアイツ?』
拓海も貴斗を伺いながら首を傾げる。


『まぁいいじゃないの、ほらっ、
手術も無事済みましたし』昭恵が慌てて口を挟む。


『そうそう、
そうですよ、ねぇっ』
養母は同調するが………


貴斗はショックを受けていた。
(何で、そんな名前が……………)




1時間後、
めぐるの両親は翌日に仕事があるため帰ると言う。
拓海が有休を取って、
個室に泊まると言い張る。


めぐるは大事(だいじ)を取るため1週間ほど入院すると医師から告げられた。


両親が『すみませんが、
頼みますね』
と頭を何度も下げて帰って行った。


昭恵は、
拓海に『ウチに泊まらんかね?
ここじゃゆっくり寝られんやろう』
と提案した。


拓海は渋ったものの、
(めぐるの生活もちゃんと見てやろう)と葛城家に泊まることにした。
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