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花咲く夜に
第8章 旅立
―――あれから。


貴斗は何も言ってくれない。

ただ何時も通りに働き、
再び郵便局に勤め出した。二足のわらじ状態を続けている。



この日も、
雨がザァザァ降る夜に帰宅した。。


『おかえりなさい〜』


『ただいま。
はい弁当箱〜。
唐揚げウマかったぞ』

貴斗は濡れた服を脱ぎながら2階へ向かう。


『貴斗……。』


『ん?どうした?』

貴斗が階段の途中で振り返る。



『………あ、あのね?
梅雨だと仕事少ないし、
どうしようかなーって思って』



『ああ、そっか。
……働き者だなめぐるさんは(笑)
梅雨時期くらい休めば良いんだよ。祖母さんの手伝いやってればいいよ?』


『………う、うん……
わかった』


『着替えてくるわー。
バケツ引っくり返したよう雨だね、毎日』




貴斗が2階の部屋に消えていく。

(実の父親の事、
どう思ってるんだろう………?
ああ言ってたけれど、
何か考え込んでる雰囲気だし)



めぐるは先日昭恵から聞いた話と、
〔俺には父さんしか父親と思えない〕と溢した貴斗の表情が頭にちらついて離れなかった。



元気そうなんだけれど……少し排他的な雰囲気を感じてしまう。



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