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花咲く夜に
第8章 旅立
『姉ちゃんさぁ』


電気を消した室内に、
拓海の声。


めぐるの部屋で布団を敷いて寝ている。
以前決意した通り、拓海は週末毎に葛城宅に泊まることにした。

めぐるは、
『なに?』と返す。



『貴斗さぁ、
すっごい姉ちゃんの事が好きだぞ?』



めぐるは寝返りを打った。ごそっと衣擦れの音がする。

『………拓海。
わたし、不安なんだ。
貴斗が居なくなったのは、きっと…絶対東京に行ったんだと思ってる。

けど、何だか不安なのよ。うまく言えないけど』




『まぁそりゃー……
急に居なくなったら不安なのは当たり前だよ。
アイツが帰ってくるまで俺が居るからさ』



『うん。
ごめんね、拓海』


『何で謝るの?』



『だって、
色々自分で決めてるようで結局心配かけちゃってる……私』


『あーもう!
心配かけたとか気ぃ遣うな!』
拓海はガバッと起き上がった。


『そうやって他人行儀に変に気を遣わないでよ。
めぐるがそうする度に、
俺辛くなる。
家族なのにさ。
泣いたって暴れたって良いんだから』
拓海は立ち上がり、
寝ているめぐるの傍らに座る。



手を伸ばしてめぐるのオデコを撫でた。


めぐるが泣いているのが、暗闇でも分かる。


拓海は優しく優しく撫で続けた。
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