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花咲く夜に
第8章 旅立
めぐるは『………あの、
昭恵さん………』
と箸を休める。


『なんだい?』


『産んで、いいんですよね………?』


『………そりゃあそうだよ。
何だ?何か問題でもあるかい?』


めぐるは俯いた。

『貴斗さん、連絡つかないし。
私、子供が出来たよって連絡したんです。
でも、TELもなくて……
もしかしたら嫌なんじゃないかな………』



昭恵はモグモグと肉を噛んで米を食べていたが、
ごくんと飲み込むと茶碗を置いた。


『めぐるちゃん。
本っ当ーにごめんね。
あの子、逃げたりしないはずなんだけど…………
何をやってるんだか』


『…………………』


『あたしもいい加減腹が立ってきたんだ。
帰ってくるのはそりゃ分かる。けど、いつになるんだって話だよ………
何も相談もしないで東京行って、連絡も寄越さないだなんて!』
昭恵は机を拳で叩いた。



『―――決めた。
あたしが週末に東京に行ってくるよ』


『え?』


『幸久……あの子の父親、幸久に訊けば病院は分かるはずだから』


『でも、そんな……
貴斗さん必ず居るでしょうか……』


『分からん。
分からんけど、
あたしもめぐるちゃんが妊娠した以上は黙って待ってられないよ。
首根っ子掴まえてやるから』

昭恵は憤慨した。

『ささ、食べよう。
あんのバカ……』
と怒りながら肉を食む。



そして呟いた。
『もう誰も、あたしの前から居なくならないように』と。
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