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花咲く夜に
第3章 興味
貴斗がツカツカとめぐるの前まで来た。


『セクハラってのは、
嫌がる人に一方的に許可もなくする行為だろ?
アンタは嫌だったわけ?』

めぐるは気まずさから俯く。

口を開こうとした瞬間、
『あんたら、
朝からよう喋るねぇ』


牛舎の横の隙間から昭恵がヌッと顔を出した。


『うわっ!!!』
『きゃっ』


『……何だよ人を化け物みたいに。
朝からよう鳴く牛が居ると思ったら、
2匹の猿だよ。
茶を置いておくよ。水筒に入れておいた。
飲みなさいな』


は〜〜ヤレヤレ……
と大袈裟に息を吐き腰を叩きながら昭恵は家屋へ向かう。


―――……昭恵は、
貴斗を心配して確認に来ていたのだ……
(あのぶんなら、
大丈夫やねアレは。
しかしまぁ痴話喧嘩だね………)


昭恵は貴斗の元気そうな様子に安堵し、
まためぐるとのいさかいに呆れてこっそり笑った。


『お茶、
飲むか。

外で座ろう』


『はい……』


牛舎の隣の水道にて手を洗い、
朝陽が照らす農道に座る。

『……悪かった、
嫌な言い方をして』


『……いいえ。
私こそ、
すみませんでした』


2人して謝り合うのに、
気まずく顔を見られずにいる。
草が生えている農道に足を投げ出し、
横並びに座っている。

お茶をコップに注いで、
『はい。
飲んでよ。冷たくて美味いよ』
と貴斗はめぐるに渡す。


めぐるは顔を見ずに、
コップを受けとるが手が貴斗の指に当たった。


『あっ………』

顔が真っ赤になる。


『……あのさ、
朝から言うことじゃないけど………
あんなコトしといて今更指当たったくらいで恥ずかしいもクソもないぞ』


『いえ、
十分恥ずかしいです』
恥ずかしいため敬語を崩せない。

『そっか……。
純情娘か』


『貴斗さんは……
強情男』


『だって男だもん。
強気じゃなくてどうするの。
しかも祖母さんと2人だぞ』

『……何か事情があるんでしょ』

『まぁ、そりゃ有る』


『……か教えて』
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