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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第3章 秘密の特訓❤︎
それから数日は学校が終わったあと、営業シミュレーションや接客プログラムを繰り返し繰り返し叩き込まれた。
お客様が粗相をしたらどう対応するか。
またはメンバーが粗相をしたらどう処理を施すか。
危険なお客様が来店した場合からクレジットカードの使い方まで、飲食店においては基本的なことを、様々厳しくゼロから教えられた。
なにしろ、みんなアルバイト経験すらない学生がほとんどのdólceメンバー。
私だって仕事は初めてだった。
それに比べ、大前さんや取り巻きの2人は慣れた手付きで研修をこなし、やっぱり凄いなと素直に感心した。
3人はアルバイト経験が豊富らしかった。
もちろんこういったアルバイトもしていたらしい。

「あんた何回ひっくり返したら気がすむの……?」

うまくトレンチを扱えない私を見て、大前さんが呆れた。
あまりにもグラスを倒して割るので、私だけプラスチックのコップや容器に代替えされ練習させられていた。
それでも中には水と氷やら、加重の為にスーパーボールやらを詰め込まれ、本番同様の緊張感を与えられた。

倒したらダメ倒したらダメ倒したらダメ倒したら……。

「い、い、いら、いらっしゃいませぇぇ〜……」

思えば思うほど手が震えて、笑顔どころではない。
しかも今はまだ動きやすいTシャツだけど、これからはウエストの絞られたメイド服のような制服と、ハイヒールを履かなければならないらしいのだ。
そんなんで私、接客なんて出来るのかな?
1歩も動けなくなってそうなんだけれど……。

「お、おま、お待たせしましたぁ〜……あっ‼︎」

ドリンクをテーブルに置こうとした途端、トレンチの上のパフェグラスに積まれたスーパーボールの山が崩れ、そのまま容器が倒れた。
散り散りに飛び跳ね転がっていくスーパーボール。
最初は拾ってくれていた他のメンバーも、今はもうほとんど無視だ。
それもそのはず。
皆、それぞれ別の仕事内容の確認や、ローテーションを繰り返しているから。
みんな、自分自身に精一杯なんだ。
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