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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第5章 原点
「お疲れ様でした!」

dolceでの初めてのお給仕をなんとか無事に終えた私は、早坂さんにお迎えにきてもらい自宅に戻った。
グラスやお皿を割る子も居た中、私は今日本当に調子が良かったんだと思う。
数日前までトレンチを扱えなかったとは思えないくらい沢山のオーダーを運んだし、レジのミスも一つもなかった。
最後の締め作業の洗い物や掃除、翌日の準備も覚えることが多くて大変だったけれど、大前さんに教わりながらやったから勉強になった。
記憶力が乏しいから怒られることもしばしばあったけれど、私にとってはプラスだったと思う。
分からないことは全部メモにとった。
車の中でそれを反芻して、大体のことは頭に入った気がする。

「お疲れ様、みゆり。昨日とは見違えるような笑顔ねぇ」

早坂さんは夜遅いときちんと玄関先まで送ってくれる。
事務所の規定もあるのだろう。
だけどそれが無くともこの人はそういう部分でしっかりした人だ。

「はい!今日、すごくお仕事が楽しくて!皆に喜んでもらったし、失敗も一つもなかったんです!」

「dolceに残れることが、相当嬉しかったのね?それなら一安心」

「はい!」

おやすみなさいと最後に交わし合って、私は玄関のドアを閉じた。
いつも通り鍵を締め、チェーンを掛ける。

「おなか減ったなぁ」

dolceの閉店時間は21時で、片付けを終えたら21時半を回る。
家に着くのは22時過ぎだ。
残念ながら賄いは出てこないから、この後自分でお腹をなんとかしないとならない。
何を食べようか。
こんな時間にまたピザなんかデリバリーしたら太っちゃうよね。
仕方なく私はコンビニに向かうことにした。
八反田さんに貰ったパーカーを着て、一番近いドーソンへ。
そこで、入口の商品棚にとあるアニメグッズのくじ引きを見つけてしまったからはやる気持ちを抑え切れなくなる。
ダンガムのコンビニくじ。
八反田さんのことだから、きっとこっそり引いているに違いないと思った。
少しでも話題にしたくて、なけなしのお給料を注ぎ込む。
5回で4千円以上もしたけれど悔いはない。
だって当たったのは……。
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