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いろごとプリズム
第18章 プリズム・デイズ
あれからほぼ一年の月日が流れた。地元の大学にどうにか入学した私は、相変わらず悠真の部屋に入り浸っている。たまにショウマ君が帰省してくる時は、年上の彼女さんと一緒。とっても仲良しで微笑ましい二人。優奈と芹沢くんも相変わらず仲良しで、同じ大学に通っている。小暮くんは……、あれから結局、卒業前に榊さんと付き合い、今もたぶん続いてる、と、思う。文芸部を継いでくれている花見川くんにも意外なことに安定した彼女ができたようで、執筆に熱を注いでいるみたい。負けちゃいられない。

そう、負けちゃいられない。
驚くことに今、書店には、私の本が並んでいる。
一応、大学生でありながら、作家のはしくれになった。

カミマPこと悠真のボカロ活動がブレイクし、あちこちから声がかかるほどになった。そして彼の曲を題材にした小説を出版するという話が持ち上がり、悠真が私を推してくれたのだ。悠真のお荷物になりたくない私は必死で執筆し、ありがたいことにその小説『プリズム・デイズ』も、そこそこ人気に火が点いている。もともとファンタジーが好きな私の嗜好を取り入れ、設定をファンタジー調にアレンジした、冒険の日々を振り返る話になっている。

これを出版して以来、いろんな執筆依頼が来るようになった。悠真と一緒に取材も受ける。表向き、クリエイティブなパートナーということになっているけど、私達の関係は日々色濃くなっている。

カミマPの曲の歌い手だったあの子、ルーナもそこから人気が出て、今やプロの歌手となった。そしてプロのミュージシャンと付き合っているらしい、もしかしたら何人かを転々と……?というのは、悠真からの情報。とにかく悠真にはもう見向きもしなくなってくれた。
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