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いろごとプリズム
第3章 文芸部の新入生
翌朝学校に行ったサーヤは、悠真とのことを親友の望月優奈に話した。優奈はクラスも一緒、文芸部でも一緒で、サーヤは唯一心を許している。少人数で活動日数も少ない文芸部は、部室に行っても大した人数が集まらない。ちょうど二人だけだったので、細かく伝えた。
「えーっ!?彼氏の弟と……?まさかの展開だねー」
「もうほんと、まさかだよ……。しかもいきなりあんな……」
「でもサーヤ、まんざらでもなかったんでしょ?」
「えっ……?」
優奈は面白がっている表情だ。
「そういう顔してるよっ!ふふっ。遠恋なんて寂しいもんねー。それにエッチしたばっかりで離れるなんてさぁ~、あっ、でも私は小暮くん推しだけどね!」
「もう、やめてよ優奈……。小暮くんはタイプじゃないって言ってるでしょ」

小暮は二人のクラスメイトで、野球部の人気者だ。モテるくせに入学してからずっとサーヤに片想いしている。
「小暮くんシャイなんだろうね~。ずっとサーヤひと筋なくせに告らないもんね!彼氏できた時もすごい落ち込んでたじゃない~」
「知らないよ……。だって私は何も言われてないし……」
そう、だから気付かない振りを続けてきている。
「私小暮くんに言っちゃおっかなー、サーヤは彼氏と遠恋になって寂しい時期だからつけこむなら今だよ、って!」
「もうっ、優奈!ほんとやめてってば!」

「……へぇ~、じゃあ僕もつけ込んじゃおっかなー」
背後から聞こえたのは、知らない男の声だった。
「だっ……誰!?ていうかいつから聞いてたのっ……!!」
二人は焦った。長髪で物憂げなその美少年は、部室に入ってきて言った。
「花見川匠(はなみがわ たくみ)、こないだ入学した一年です。入部希望で来ました。えーと質問に答えるとー、エッチしたばかりで離れた、ってとこから聞いてましたー!」

「うぎゃああああ!!!!」
サーヤは絶望した。初対面の一年生にこんな話を聞かれて、しかも入部希望……!?
「あはは~!面白くなってきた」
「優奈っ!!怒るよほんと」
「……サーヤ、先輩と、優奈先輩?文芸部はこの二人だけですか?」
「あ、ううん、あと何人かいるんだけどね。たまにしか来ないかな。大歓迎よ、花火川くん!ようこそ我らが文芸部へ!!まさかこんな美少年が来るなんてっ」
「花火じゃないです、花見です……」
優奈の高いテンションと、花見川の低いテンションが好対照だ。
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