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いろごとプリズム
第14章 恋の相手
花見川とセックスするようになってから二週間。もう数回彼の家に通い、何度もしている。淫乱似た者同士、と彼が言う通り、言葉に出来ない共鳴と言うかシンクロと言うか、とにかくセックスの波長が合うとサーヤは実感していた。それでいて互いに執着はしない、というところも共通している。とにかく「今、共に性欲をぶつけ合うこと」――それだけに没頭する二人の世界があった。

「ふーん……それって付き合ってるってわけじゃないのかなぁ」
「違うと思うよ。でもセフレって感じでもないんだよね……」
「そうだねぇ。うーん、私にはよくわかんないかな」
ラブラブな彼氏がいる優奈には想像がつかない世界のようだった。
「花見川くんはサーヤのことが一番好きなんじゃない?って私は思っちゃうな」
「それはないと思うよ~。だったら他の子としないでしょ?」
「そうだよねぇ……」

花見川はサーヤと関係を持っても尚、他の複数の女性からの要望を受け入れていた。それらはセフレと呼べるものなのかもしれない。確かにサーヤとの関係はセフレではないけれど、恋人とも言えないと思うのだった。そしてサーヤは漠然と、この関係はそう長くは続かないものだということを悟っていた。その刹那的な感覚がまた、ときめきを助長していた。

「そのさ、他の子としててもサーヤがなんとも感じないっていうのが、私よくわかんないや」
「そうだね……、私もわかんないんだけど、たぶん花見川くんのことそんなに好きってわけじゃないんだろうなと思う」
「うん……、あれかな、カラダが好き……ってやつ?きゃーー!」
自分で言って自分で照れている優奈。
「あは、そういうことになるかもしれないね」
サーヤが花見川の他での関係に嫉妬を感じないのは本当だった。花見川はいつも優しいし、全力で行為に没頭し合えるし、文句はなかった。
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