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遅咲きのタンポポ
第13章 2年越しの想い
エレベーターに乗り、部屋に向かう間も、誰と顔を合わすこともなく。

廊下も薄暗いし、狭い。

そう言えば、こういう場所で火災があって逃げ遅れたとかニュースで見た事があるけど。さもありなん、と思う狭さと暗さ。だいたい室内にいる人は直ぐに逃げ出せる格好じゃないだろうしね。

廊下より室内を広くしたいんだろうし、人と会うのも気まずいから敢えて暗くしているんだろうけど。

なんて関係ないことを考えながら少しでも緊張を紛らわそうと試みる。

武井さんが部屋を見つけ、ドアを開けた。

ドアを開けると、正面と、左右、三枚のドアが目に入る。

うち右手のドアには『W.C』のプレート。てことは、左がお風呂で正面が部屋、ってことかな?

靴を脱ぐようになっていて、スリッパが2組置いてあったから、とりあえず靴を脱ぎ、履き替えた。

武井さんが着ていたモッズコートを脱ぎ、ハンガーにかける。そのあともう一本のハンガーを取り、私のコートをかけてくれる。

室内は防音効果のせいか、シンと静まりかえっている。圧迫感すら感じるほどの静けさ。

部屋の中には大きなベッドが存在を主張していて。2人掛けのソファがやけに小さく見えた。
TVもやたら大きくて、天井にはスピーカーも埋め込まれている。

本当に、ルームシアターとしても利用できるんじゃないかと思うくらいの設備だ。




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