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遅咲きのタンポポ
第14章 遅咲きのタンポポ
お母様の意外過ぎる経歴に思わず言葉を飲み込む。

「あぁ見えて苦労人なんだ。元々はそこそこのお嬢だったらしいけど、父親が事業に失敗して借金作って首吊って、アパート暮らしになって、自分は高卒で水商売の世界に飛び込んで、生活力のない母親と、3つ下の弟養って、ホステスの稼ぎで弟を大学まで行かしたから。
親父とはその店で知り合ったんだって。
全然自分の事話さないから親父は逆に気になって、周りとかに色々聞いて、その境遇を知ったけど、愚痴も弱音も一切吐かずに笑顔で接客する態度に惚れ込んでプロポーズしたって言ってた。
高卒から結婚までの数年間だけど、えげつない女の世界で生きてたヒトだから、メンタルはめちゃめちゃ強いし女の子を見る目は厳しいんだよね。
だから、俺が女性不信に陥りかけた件の彼女なんかは、ひと目で“あのコはダメ”って一蹴されたし。」

「そうなの?でも、それは別れるきっかけにはならなかったんだ…」

「当時はまだ、交際イコール結婚って歳でもなかったし、母親に反対されたから別れるなんてただのマザコンじゃない。逆に意固地になって、突っぱねた。
ま、それもあって、ボロボロになるまで行っちゃったんだけど。
でも、あの経験があったから、沙織ちゃんと出逢えたのかなぁって、今は思うし。
そう思うと、人生何が幸いするかわかんないね。」

と笑った。
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