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遅咲きのタンポポ
第5章 友達

ふわっと唇が重なる。


触れただけ、に思われた唇は、
次の瞬間ぐっと密着感を増し、
閉じた唇の間から舌が入ってくる。


舌先が私の前歯を何度も突く。

まるで、開けて、ってノックしてるみたいに。

一瞬唇が離れ、少し確度を変えてまた重なる。
次はお互いの口が少し開いていて、そこから容赦なく舌が割り込んできた。

武井さんの舌に私の舌が絡め取られ、
吸い上げるような濃厚なキス。

震えるほど気持ちよくて、身体の力が抜ける。

どのくらいそうしていたのか分からないけれど、
きっと、時間にしたらものの1分か2分。
でも、それ以上に長く感じて。

唇が離れる時の、チュウッという音がやけに卑猥に聞こえた。

「…はっ….」

唇が離れ、見つめ合う。

武井さんの熱い視線はまだ私を捉えていて。

そのまま少しずつ身体が傾く。

乱暴に押し倒されたわけじゃないのに、
抵抗なんてできなくて、気づいたら、ラグの上で半分以上身体が重なっていた。

武井さんは私を、愛しむように抱き締め、
頬ずりして、首筋や耳元に何度もキスを落とす。

頭がぼんやりして、このままエッチしちゃうのかな、
なんて漠然と考えた時。

武井さんの身体が離れた。


「ごめん…我慢できなくて…友達って言っといて、
こんな事しちゃダメだよな…」


苦しそうに呟き、

「ごめん。帰る…」

寂しそうな目で私を見て、武井さんは部屋から出て行った。

私は、扉がパタンと閉まった後も、
その場に座ったまま、彼の出て行った玄関を見つめていた…




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