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遅咲きのタンポポ
第10章 格差と温度差
車に戻る途中、ふいにいい匂いがして、時計を見るともう時間は12時を回っていた。

「そう言えば、武井さん朝ごはん食べたんですか?」

「機内食は出たよ。」

「でも、それだと結構時間経ってますよね?お腹空きません?」

「少し。沙織ちゃんは?」

「私は空港でモーニング食べたので、まだ大丈夫です。」

「そか。じゃ、梶井さんもまだだし、早く帰ろう?この時間だったらきっと家でなんか用意してるよ。」

初めてお邪魔する武井さんのお家でお昼とはいえ、ご飯…めちゃくちゃ緊張する。
テーブルマナーってどんなんだったっけ?
勝手にホテルのレストランのような食事を想像してしまう。
私サラダのレタスをフォークで食べるの、苦手なのよね…
お箸みたいに掴めないし。

彼の家に来るドレスコードもわきまえてない上、テーブルマナーまでなってないコ、という烙印を押されませんように…

車に戻り、レクサスは一路、武井さんのご自宅に向かった。

「梶井さん、ウチに電話した?」

「はい。お買い物に寄られているので、戻りが遅れる旨は伝えてあります。お連れ様がいらっしゃる事も伝えましたよ。」

「じゃ、彼女の分もお昼用意してくれてるだろうね。」

「恐らく。奥様が電話に出られて祥悟さんの様子をご心配されていましたので、お変わりない事と、お連れ様は恋人だと伺いましたと伝えたら、早く会いたいと楽しみにしてらっしゃいました。」

もう伝わってるの⁉︎
まぁでも玄関先で誰このコ⁉︎ってなるよりいいのかな…
いや、恋人ってものすごい美人とか、完璧なレディを想像されて、実物見るなりガッカリ…の方が状況的にはツラい。
でもガッカリコースの方が現実味があってそれがまたツラい…
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